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債務控除・葬式費用(相続財産から控除できるもの)

公開日:2020-11-21 15:22

目次


●債務控除

相続税は、相続又は遺贈により受けた利益にその担税力を求めて課税される税金であることから、
その財産の取得者が被相続人の債務を承継して負担するとき、又は被相続人の葬式に要した費用を負担するときは、
その負担分だけ担税力は減殺されることになります。そこで、相続税法は、
当該債務等を相続又は遺贈により取得した財産の価額から控除して相続税の課税価格を計算することとしています。

 


●債務控除をすることができる者

① 相続又は遺贈により財産を所得した無制限納税義務者

  控除できる債務等の範囲

・被相続人の債務で相続開始の時に現に存するもの

・被相続人に係る葬式費用

② 相続又は遺贈により財産を取得した制限納税義務者

控除できる債務等の範囲

・相続又は遺贈により取得した財産に係る債務

・相続又は遺贈により取得した財産の取得、維持管理のために生じた債務

・相続又は遺贈により取得した財産に関する贈与の義務

・被相続人が死亡した時に法施行地に営業所等を有していた場合においては、

その営業上の債務

 


●相続開始の時に現に存する債務

① 相続財産の価額から控除される債務は、相続開始の時に現に存するもので、
確実と認められるものに限られています

    控除すべき公租公課の金額は、被相続人の死亡の際債務の確定しているものの金額のほか、
被相続人に係るもので被相続人の死亡後、相続人及び包括受遺者が納付し
又は徴収されることになった所得税等の税額が含まれます。

ただし、相続人及び包括受遺者の責めに帰すべき事由により納付し、
または徴収されることとなった延滞税、
利子税及び各種の加算税に相当する税額並びに地方税法の規定による督促手数料、
延滞金、過少申告加算金、不申告加算金、重加算金及び滞納処分費の額は含まれません

    保証債務及び連帯債務については、次に掲げるところにより取り扱われることになります。

・保証債務については、控除できません。ただし、主たる債務者が弁済不能の状態にあるため、
保証債務者が債務を履行しなければならない場合で、かつ、主たる債務者に求償しても
返還を受ける見込みがない場合には、主たる債務者が弁済不能の部分の金額は、
その保証債務者の債務として控除できます。

・連帯債務については、連帯債務者のうちで債務控除を受けようとする者の負担すべき金額が
明らかとなっている場合には、その負担額を控除し、連帯債務者のうちに弁済不能の状態にある者があり
かつ、求償して弁済を受ける見込みがなく、その弁済不能の状態にある者の負担部分を負担しなければならないと
認められる場合には、その負担しなければならないと認められる部分の金額も控除することができます。

 


●控除の対象とならない債務

被相続人の債務であっても、次に掲げる相続税の非課税財産の取得、
維持管理のために生じた債務の金額は、債務控除の対象にはなりません。

    墓所、霊びょう及び祭具並びにこれに準ずるものに係る債務

    個人の公益事業財産に係る債務

 


●葬式費用の範囲

① 葬式費用に該当するもの

相続税の課税価格の計算上、葬式費用として控除する金額は、
次に掲げる金額の範囲のものとされています。

・葬式や葬送に際し、又はそれらの前において、埋葬、火葬、納骨
 又は遺がい若しくは遺骨の回送その他に要した費用

・葬式に際し、施与した金品で、被相続人の職業、
 財産のその他の事情に照らして相当程度と認められるものに要した費用

・上記以外で、葬式の前後に生じた出費で通常葬式に伴うものと認められるもの

・死体の捜索又は死体若しくは遺骨の運搬に要した費用

    葬式費用に該当しないもの

次に掲げられるようなものは、葬式費用として控除を受けられないものとして取り扱います。

・香典返礼費用

・墓碑及び墓地の購入費並びに墓地の借入料

・法会に要する費用(法要費用)

・医学上又は裁判上の特別の処置に要した費用

執筆:税理士法人Sofa