相続税の計算
公開日:2020-11-21 15:27
目次
・各人の課税価格
相続又は遺贈により財産を取得した各人ごとの課税価格は次のとおり計算します。
(イ) 相続又は遺贈により取得した財産の価額
(ロ) 相続又は遺贈により取得したものとみなされる財産の価額
(ハ) 非課税財産の価額
(ニ) 相続時精算課税適用財産の価額
(ホ) 債務及び葬式費用の額
(ヘ) 被相続人からの3年以内贈与財産
★各人の課税価格 =(イ)+(ロ)-(ハ)+(二)-(ホ)+(へ)
※相続開始の年においてその相続に係る被相続人からの贈与に取得した財産については、
贈与税の課税価格に算入しないで、相続税の課税価格に加算する
※相続開始の年において、その相続に係る被相続人から贈与を受けた財産で、
相続時精算課税の適用を受けた財産は、贈与税の課税価格に算入するとともに、相続税の課税価格にも算入されることになります。
・相続税の総額の計算
相続又は遺贈により財産を取得した各人の相続税額は、
相続税の総額に課税価格の合計額に占める各人の課税価格の割合を乗じて算出されることになります。
この各人が実際の納付する相続税額を算出する基になる相続税額の総額は次の計算方法により算出します。
Ⅰ 課税価格の合計額を計算する
相続又は遺贈により財産を取得した全員の課税価格を合計して、課税価格の合計額を計算する
相続又は遺贈により財産を取得した者が、
「配偶者A」20,000万円
「子供B」8,000万円
「子供C」6,800万円
「子供D」0万円
である場合
「配偶者Aの課税価格」+「子供Bの課税価格」+「子供Cの課税価格」+「子供Dの課税価格」=「課税価格の合計額」
20,000万円+8,000万円+6,800万円+0万円=34,800万円
Ⅱ 課税遺産の総額を計算する
課税価格の合計額から基礎控除額を差引いて課税遺産の総額を計算する
上記Ⅰを例にすると、
「課税価格の合計額」-「相続税の基礎控除※」= 課税遺産の総額
34,800万円-4,800万円=30,000万円
※1 相続税の基礎控除とは、相続税の総額を計算する場合に、
課税価格の合計額から差引く控除額であり、相続税の最低限度額でもあります。
よって、上記①の課税価格の合計額がこの基礎控除以下であれば、相続税は課税されないということになります。
相続税の基礎控除の計算式
3,000万円+(600万円×法定相続人の数※)=相続税の基礎控除
上記Ⅰを例にすると、
3,000万円×(600万円×3人)=4,800万円
ということになります。
※法定相続人の数
法定相続人は、民法に規定する相続人をいいますが、相続の放棄をしは者があっても、
その相続の放棄がなかったものとした場合の相続人をいうこととされています
よって、法定相続人の数における法定相続人には、相続の放棄があった場合においても、
その法定相続人の数には変更はありません。
また、被相続人に養子がいる場合の、「法定相続人の数」に含まれる養子の数は次のとおり制限が設けられています。
イ 被相続人に実子がいる場合 ⇒ 1人
ロ 被相続人に実子がいない場合 ⇒ 2人
Ⅲ 法定相続分に対応する各人の取得金額を計算する
前期Ⅱの課税遺産の総額を法定相続人が民法の規定する法定相続分に従って分けたものとした
場合における各人ごとの金額を計算します。
上記Ⅰを例にすると、
「配偶者A」 課税遺産総額 × 法定相続分 = 法定相続分に対応する各取得金額
30,000万円×1/2=15,000万円
「子供B」 課税遺産総額 × 法定相続分 = 法定相続分に対応する各取得金額
30,000万円×1/6=5,000万円
「子供C」 課税遺産総額 × 法定相続分 = 法定相続分に対応する各取得金額
30,000万円×1/6=5,000万円
「子供D」 課税遺産総額 × 法定相続分 = 法定相続分に対応する各取得金額
30,000万円×1/6=5,000万円
※この金額を計算する場合には、各相続人が財産を取得したかどうかにかかわらす、
民法の規定する法定相続分に応じて取得したものとして計算します。
Ⅳ 各取得金額を基にした税額を算出する
前期Ⅲによって計算した各相続人ごとの「各取得金額」に税率を乗じて相続税の総額の基となる税額を求めます。
税率及び控除額【相続税の速算表】
法定相続分に対応する各人の取得金額 × 税率 - 控除額
1,000万円以下 10% 0円
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円
上記Ⅰを例にすると、
「配偶者A」 法定相続分に応じた各人の取得金額×税率-控除額=算出税額
15,000万円×40%-1,700万円=43,000万円
「子供B」 法定相続分に応じた各人の取得金額×税率-控除額=算出税額
5,000万円×20%-200万円=8,000万円
「子供C」 法定相続分に応じた各人の取得金額×税率-控除額=算出税額
5,000万円×20%-200万円=8,000万円
「子供D」 法定相続分に応じた各人の取得金額×税率-控除額=算出税額
5,000万円×20%-200万円=8,000万円
Ⅴ 相続税の総額を計算する
前期Ⅳで算出した各取得金額を基にした税額の合計額が相続税の総額となる。
上記Ⅰを例にすると、
「配偶者A」 4,300万円
「子供B」 800万円
「子供C」 800万円
「子供D」 800万円
合計 6,700万円
Ⅵ 各人ごとの相続税額の計算をする
相続税の総額×各人の課税価格/課税価格の合計額=各相続人の税額
上記Ⅰを例にすると、
「配偶者A」 6,700万円×20,000万円/34,800万円=3,641=38,190,000円
「子供B」 6,700万円×8,000万円/34,800万円=14,740,000円
「子供C」 6,700万円×6,800万円/34,800万円=13,400,000円
執筆:税理士法人Sofa