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相続税がかからない財産

公開日:2020-11-21 15:04

目次


相続税では、原則として、相続又は遺贈によって取得した財産が課税対象となります。

しかし、相続又は遺贈により取得した財産の中には、その性質、社会政策的な観点、
国民感情などから相続税の課税の対象とすることが適当ではないものがあります。


そこで、相続税法では、このような財産については、相続税の課税対象としないこととしており、
これを「相続税の非課税財産」といいます。

・その財産の性質、国家的見地又は国民感情に基因する非課税財産

    皇室経済法の規定よって皇位とともに皇嗣が受けた物

    墓所、霊びょう、仏壇、仏具など

・公益性の見地に基因する非課税財産

    宗教、慈善、公益事業を行う人が、相続又は遺贈によって取得した財産で
その公益事業の用に供することが確実なもの

・社会政策的見地に基因する非課税財産

    心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権 下記※1参照

    相続人が受取った生命保険金などのうち、一定の金額 下記※2参照

    相続人が受取った退職手当金などのうち、一定の金額 下記※3参照

    相続財産などを申告期限までに国などに寄付した場合にけるその寄付財産 下記※4参照

    相続財産である金銭を申告期限までに特定公益信託に支出した場合におけるその金銭

下記※5参照

    相続税の申告期限前に災害により被害を受けた相続財産 下記※6参照

 

1 心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権

精神もしくは身体に障害のある人又はその障害のある人を扶養する人が、
条例の規定により地方公共団体が精神又は身体に障害のある者に対して実施する共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利を取得した場合には、
それらの権利の価額は、相続税の課税価格の計算の基礎に参入しないものとされています。

2 相続人が受取った生命保険金などのうち、一定の金額

被相続人の死亡により相続人(相続の放棄をした者や相続権を失った者を除く)が
受取った生命保険契約の生命保険金又は損害保険契約の保険金のうち、
被相続人が負担した保険料に対応する部分の金額については、一定の金額に相当する部分の金額については、
相続税がかからないこととされています。

この一定の金額とは次の算式で計算された金額となります。

500万円×法定相続人の数

3 相続人が受取った退職手当金などのうち、一定の金額

被相続人の死亡により被相続人に支給されるべきであった退職手当金などを相続人
相続の放棄をした者や相続権を失った者を除く)が受取った場合には、
一定の金額に相当する部分の金額については、相続税がかからないこととされています。

この一定の金額とは次の算式で計算された金額となります。

500万円×法定相続人の数

4 相続財産などを申告期限までに国などに寄付した場合にけるその寄付財産

相続又は遺贈により財産を取得した者が、その取得した財産をその相続又は遺贈に係る相続税の申告期限の提出期限までに、
国若しくは地方公共団体又は特定の公益法人に贈与した場合には、その贈与をしたことによって、
その贈与者又はその親族等の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められる場合を除き、その贈与した財産の価額は、
その相続税の課税価格の計算の基礎に参入しないこととされています。

特定の公益法人とは

独立行政法人

国立大学法人等

地方独立行政法人

公立大学法人

センター (自動車安全運転センターなど)

事業団/振興会等 (日本赤十字社など)

公益社団法人

公益財団法人

学校法人

社会福祉法人

更生保護法人

認定NPO法人

5 相続財産である金銭を申告期限までに特定公益信託に支出した場合におけるその金銭

相続又は遺贈により財産を取得した者が、その取得した財産に属ずる金銭をその相続又は遺贈に係る相続税の申告期限の提出期限までに、
特定公益信託(公益信託で信託終了時における信託財産が委託者に帰属しないこと及びその信託事務の実施につき、
一定の要件を満たすものであることについて主務大臣に証明されたもの)のうち、その目的が、教育又は科学の振興、
文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与する特定公益信託の信託財産とするために支出した場合には、
その支出をしたことによって、その支出した者又はその親族等の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められるば場合を除き、
その支出した金銭の価額は、その相続税の課税価格の計算の基礎に参入しないこととされています。

6 相続税の申告期限前に災害により被害を受けた相続財産

相続又は遺贈により財産を取得した者が、その相続又は遺贈により取得した財産について、
相続税の申告書の提出期限前に災害により甚大な被害を受けた場合において、
その被害額がその財産の金額の10%以上にとなる場合には、相続税の課税価格に参入する価額は、
その相続財産の価額から、その被害を受けた部分の価額を差引いて計算することができます。

執筆:税理士法人Sofa