相続税における財産評価[借地権・貸家建付地・貸宅地・自用の家屋・貸家・建築中の家屋・付属設備・構築物]
公開日:2020-11-23 18:35
目次
●借地権の評価の概要
① 普通借地権の評価
自用地評価額×借地権割合※1=借地権の自用地評価額
※1
借地権割合は国税庁が30~90%(10%刻み)の間で定めていますが、
地域によって異なり、一般的に土地の利用価値が高い地域、
つまり主要駅の周辺や繁華街は借地権割合が高くなります。
例えば東京駅の周辺や中央区銀座などは90%のエリアが多くなっていますし、
住宅街については、70%のエリアが多くなっています。
② 定期借地権の評価
自用地評価額×A/B×C/D=借地権の自用地評価額
A⇒設定時に借地人に帰属する経済的利益の総額
B⇒設定時におけるその宅地の通常の取引価額
C⇒残存期間年数に応じる基準年利率による複利年金現価率
D⇒設定期間年数に応じる基準年利率による複利年金現価率
●貸家建付地の評価の概要
貸家建付地とは、貸家の敷地の用に供されている宅地、
すなわち、所有する土地に建築した家屋を他に貸し付けている場合の、
その土地のことをいいます。
貸家建付地の評価
自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)=貸家建付地評価額
●貸宅地の評価の概要
貸宅地とは、借地権など宅地の上に存する権利の目的となっている宅地をいいます。
貸宅地の価額は、その宅地の上に存する権利の区分に応じて次のとおり評価します。
貸宅地の評価
自用地評価額×(1-借地権割合)=貸宅地評価額
●自用の家屋の評価
固定資産税評価額×1.0=自用家屋評価額
※固定資産税評価額は固定資産税納税通知書
又は固定資産税評価証明書に記載されています。
●貸家の評価
固定資産税評価額×(1-借地権割合×賃貸割合)=貸家評価額
●建築中の家屋の評価
課税時期までに投下された費用現価の額※」×0.7=評価額
※投下された費用現価の額は、請負契約書や領収書から算出します。
●付属設備の評価
・家屋と構造上一体となっている設備
家屋の価額に含めて評価します。
家屋と構造上一体となっている設備とは、
家屋の所有者が有する電気設備、ガス設備、衛生設備、給排水設備、温湿度調整設備、
消火設備、昇降設備等で家屋に取り付けられ、その家屋と構造上一体となっているものをいいます。
・門、塀等の設備
家屋のエクステリアとしての塀や門、屋外の井戸(外井戸)、屋外の塵芥処理設備等が該当します。
(再建築価額※1-建築時から課税時期までの償却費※2)×70%=評価額
※1 課税時期においてその資産を新たに建築又は設備するための費用
※2 償却方法は、定率法によるものとします。
・庭園設備
庭園等に関する設備庭園に存在する庭木や庭石、あずま屋、庭池その他の、
「庭園内に配置されたものの中でその資産価値が認められるものが存在する」場合に該当します。
調達価額※1×70%=評価額
※1 課税時期においてその財産をその財産の現況により取得する場合の価額
●構築物の評価
構築物とは、土地に定着している建造物、土木設備、工作物のことであり、
住居等の人が継続的に生活する建物ではなく、ガソリンスタンド、トンネルや橋、
広告塔、運動場などは該当します。
(再建築価額※1-建築時から課税時期までの償却費※2)×70%=評価額
※1 課税時期においてその資産を新たに建築又は設備するための費用
※2 償却方法は、定率法によるものとします。
執筆:税理士法人Sofa