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相続税における財産評価[株式及び出資の評価]

公開日:2020-11-23 21:29

目次


株式評価の概要

Ⅰ株式評価上の区分

    上場株式 ⇒ 上場株式

    気配相場の等のある株式 ⇒ 公開途上にある株式

    取引相場のない株式

Ⅱ上場株式の評価

(A B C D)のうち最も低い価額=評価額

A⇒課税時期の最終価額(終値)

B⇒課税時期の属する月の毎日の最終価格(終値)の月平均額

C⇒課税時期の属する月の前月の毎日の最終価格(終値)の月平均額

D⇒課税時期の属する月の前々月の毎日の最終価格(終値)の月平均額

※課税時期に最終価額がない場合は、課税時期の前日以前の最終価格又は翌日以後の最終価格のうち、
課税時期に最も近い日の最終価格を課税時期の最終価格とします。

Ⅲ気配相場のある株式の評価(公開途上にある株式)

    株式の上場に際して公募等が行われる場合

公開価格=評価額

    株式等の上場等に際して公募等が行われない場合

課税時期以前の取引価格等を勘案した金額=評価額

Ⅳ取引相場のない株式の評価

取引相場のない株式とは、「上場株式」及び「気配相場等のある株式」以外の株式をいいます。
相続や又は遺贈により株式を取得した株主が、その株式を発行した会社の経営支配力を持っている
同族株主等か、それ以外の株主かの区分により、
それぞれ原則的評価方式又は特例的な評価方式の配当還元方式により評価します。

     原則的な評価方法

原則的評価方式は、評価する株式を発行した会社を総資産価額、
従業員数及び取引金額により大会社、中会社又は小会社のいずれかに区分して、
原則として次のような方法で評価をすることになっています。


  イ 大会社

大会社は、原則として、類似業種比準方式により評価します。

類似業種比準方式とは、類似業種の株価を基に、評価する会社の一株当たりの
「配当金額」、「利益金額」及び「純資産価額(簿価)」の三つで比準して評価する方法です。
なお、類似業種の業種目及び業種目別株価などは、国税庁のホームページで閲覧できます。

ロ 小会社

小会社は、原則として、純資産価額方式によって評価します。

純資産価額方式とは、会社の総資産や負債を原則として相続税の評価に洗い替えて、
その評価した総資産の価額から負債や評価差額に対する法人税額等相当額を
差し引いた残りの金額により評価する方法です。

ハ 中会社

中会社は、大会社と中会社の評価方法を併用して評価します。

     配当還元方式による株式の評価

取引相場のない株式は、原則として、
上記のような原則的評価方式により評価しますが、
同族株主以外の株主が取得した株式については、
その株式の発行会社の規模にかかわらず原則的評価方式に代えて
特例的な評価方式の配当還元方式で評価します。
配当還元方式は、その株式を所有することによって受け取る一年間の配当金額を、
一定の利率(10)で還元して元本である株式の価額を評価する方法です

     特定の評価会社の株式評価方法

次のような特定の評価会社の株式は、原則として、
(イ)~(ホ)については純資産価額方式により、
(へ)については清算分配見込額により評価することになっています。
 なお、(イ)~(ニ)の会社の株式を取得した同族株主以外の株主等については、
特例的な評価方式である配当還元方式により評価します。

イ 類似業種比準方式で評価する場合の3つの比準要素である「配当金額」、
「利益金額」及び「純資産価額(簿価)」のうち直前期末の比準要素のいずれか2つがゼロであり、
かつ、直前々期末の比準要素のいずれか2つ以上がゼロである会社(比準要素数1の会社)の株式

ロ 株式等の保有割合(総資産価額中に占める株式、
出資及び新株予約権付社債の価額の合計額の割合)が
一定の割合以上の会社(株式等保有特定会社)の株式

ハ 土地等の保有割合(総資産価額中に占める土地などの価額の合計額の割合)が
一定の割合以上の会社(土地保有特定会社)の株式

ニ 課税時期において開業後の経過年数が3年未満の会社や、
類似業種比準方式で評価する場合の3つの比準要素である「配当金額」、
「利益金額」及び「純資産価額(簿価)」の
直前期末の比準要素がいずれもゼロである会社(開業後3年未満の会社等)の株式

ホ 開業前又は休業中の会社の株式

へ 清算中の会社の株式

 

執筆:税理士法人Sofa