相続税における財産評価[特許権・実用新案権、意匠権及び商標権]
公開日:2020-11-23 21:50
目次
●特許権の評価
特許権は、産業上利用できる発明で特許を受けたものを保護するものです。
特許権は設定の登録により発生し、特許権者(特許権を持つ者)は、
業として特許発明を実施する権利を専有します。
特許権の存続期間は出願の日から20年とされています。
その期間内であれば、特許権を相続することができます。
特許権の相続税法上の評価方法は、
財産評価基本通達で定められており、次のように評価します。
a特許発明を他人に実施させている場合
特許発明の実施によって将来受ける補償金(収益)の額を、
基準年利率による複利計算で現在の価値に割り引いた価額で評価します。
具体的には、次のように計算します。
A=第1年目の補償金年額×1年後の基準年利率による複利現価率
B=第2年目の補償金年額×2年後の基準年利率による複利現価率
…
N=第n年目の補償金年額×n年後の基準年利率による複利現価率
上記のAからNまでの合計額を特許権の評価額とします。
なお、第n年目のnは課税時期から特許法に規定する特許権の存続期間(20年)が
終了するまでの範囲内において推算した年数とし、1年未満の端数は切り捨てます。
将来受ける補償金の額が確定していない場合は、
課税時期より前に取得した補償金の額で経常的な部分の金額をもとにして、
その特許権の需要や持続性等を考慮して推算した金額を将来受ける補償金の額とします。
b特許発明を自ら実施している場合
特許権またはその実施権を得て自ら特許発明を実施している場合は、
その特許権や実施権の価額は自らの事業の営業権の価額に含めて評価します。
営業権の価額はその事業の収益をもとに計算しますが、
収益には特許権や実施権によってあげるものも含まれているという考えから、
このような評価方法をとっています。
c将来受ける補償金が少額である場合
特許発明を他人に実施させているか自ら実施しているかにかかわらず、
将来受ける補償金の額の合計が50万円に満たない場合は、特許権は評価しません。
これは、将来受ける補償金が見込みどおりに受けられるとは限らず、
将来の不確実性を考慮したことによるものです。
●実用新案権、意匠権及び商標権の評価
実用新案権、意匠権及び商標権と
それらの実施権等の価額は上記の特許権の評価方法に準じて評価します。
執筆:税理士法人Sofa