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株式の相続手続きの流れ

公開日:2020-11-28 15:03

目次


株式を管理している金融機関と、保有銘柄の内訳が分かったら、株式の相続手続きを行います。

 

1.申請書類の請求

まず、株式を管理している金融機関に応じて、以下の部署に連絡し、相続手続きの申請書類を郵送で取り寄せます。

 

  証券会社 亡くなった方が口座をお持ちであった支店

  信託銀行 証券代行部

 

証券会社の場合にご注意いただきたいのは、必ず「亡くなった方が口座をお持ちであった支店」にご連絡いただくという点です。証券口座で管理されている場合、口座のある支店でなければ取引状況の確認が行えないためです。

(銀行預金の口座確認は、一般的にどの支店の窓口でも手続きが可能です。)

 

連絡をすると1~2週間程度で会社所定の必要書類がお手元に届きます。

 

2.必要書類の準備

株式の移管にあたっては、上記1の申請書類のほかに以下の書類も準備しなれけばなりません。

 

  亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍(戸籍・除籍・改製原戸籍)

  相続人全員の戸籍

  遺産分割協議書(相続人全員の署名とご実印の押印が必要)

  相続人全員の印鑑証明書(有効期限あり)

 

特に戸籍の収集に関しては、多くの場合、複数の役所に発行請求をかけることになります。この作業には、最短でも1ヶ月はかかりますので、早めの対応が必要です。

  

3.支店窓口にて株式移管手続き

証券会社や信託銀行の窓口で手続きを行い、相続人名義の証券口座に株式を移管いたします。

窓口での手続きに1時間ほどかかり、その後、移管の完了までに1ヶ月程度を必要とします。

 

なお、移管手続きは支店窓口で行うことをお勧めします。

郵送で行うことも出来ますが、この場合、戸籍謄本や遺産分割協議書、相続人全員分の印鑑証明書の原本を提出する必要があります。複数の証券会社や信託銀行が手続きの対象となる場合は、これらの返送があるまで、他の金融機関への手続きは行えませんので注意が必要です。

 

店舗の営業時間は、信託銀行の場合は平日9時~15時、証券会社の場合は平日9時~遅くとも17時くらいまでが一般的です。

 

また、株式の移管においては、以下の点について、預金の相続手続きよりも手間がかかることも念頭におく必要があります。

 

株式移管手続きの方式が金融機関ごとに異なります。そのため、預金の相続に比べて、それぞれの金融機関にあわせた対応が必要になります。

 

証券会社で管理されている場合で、かつ、亡くなった方の株式を管理する証券会社に、相続人が証券口座を持っていない場合は、別途口座を開設する必要があります。(預金の相続の場合、振込手数料を負担すれば他の金融機関への振込も可能)

(例)亡くなった方の株式を管理する証券会社=A証券会社

   相続人が口座をお持ちの証券会社       =B証券会社

     →B証券会社の口座へは移管できません。

      A証券会社に口座を開設する必要があります。

 

信託銀行の特別口座で管理されている場合は、相続人の任意の証券会社の口座へ移管します。相続人が証券口座を一切持っていない場合、別途口座開設が必要です。なお、信託銀行内に別の特別口座を作ってそちらに移管することは出来ません。

 

<まとめ>

預金の相続の場合とは異なり、株式の相続では証券会社・信託銀行・ほふりのそれぞれに対して所定の手続きが必要となります。相続人への負担も大きくなりますので、お早めに専門家にご相談下さい。


執筆:司法書士法人 鴨宮パートナーズ