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リスクのある節税対策 タワーマンションスキーム その6 「タワーマンションの評価 ② 実勢価格との乖離」

公開日:2020-12-12 12:00

目次


前回は、タワーマンションの相続税における財産評価の方法を確認しました。

前置きが長くなってしまいましたが、なぜタワーマンションスキームが節税になるのか、
その核心である相続税法上の財産評価額と実勢価格の違いについて見ていきましょう。

 

タワーマンション

 実勢価格        1億円

 相続税法上の財産評価額 6千万円

 

例えば、上記のような実勢価格、財産評価額のタワーマンションがあるとします。

実勢価格が
1億円のタワーマンションを取得し、相続税法上は評価額が6千万円であるとします。
取得価格は
1億円ですが、前回のコラムに記載したように、通常は相続税法上の評価額は支出した金額よりも低くなります。

タワーマンションを取得したタイミングで相続が発生した場合、
現金で
1億円を所有していた場合と比べ、
相続税の計算上、
4千万円分、財産の評価額が下がり、
それに伴い相続税額も下がることになります。

仮に相続税率が財産評価額の
40%とした場合
(本当はもっと複雑な計算がありますが、わかりやすさを優先して簡便的に計算しています)、
4千万円×40%=千6百万分、相続税が安くなります。かなり大きな金額ですね。

 

例1 財産が現金2億円で相続が発生した場合

相続発生前財産 2億円

相続税     8千万円

相続発生後財産 12千万円

 

例2 財産が現金2億円からタワーマンションを取得して相続が発生した場合

相続発生前財産 16千万円(現金1億円+タワーマンション6千万円)

相続税     64百万円

相続発生後財産 96百万円(現金36百万円+タワーマンション6千万円)

 

ただ、税金は安くなりましたが、タワーマンションを取得しているため、
実際に所有している現金は、
12千万円から36百万円に減っています。

これでは本末転倒のようにも感じますが、どうなのでしょうか。次回、さらに具体例を出しながら確認します。

 


執筆:税理士法人アップル 代表税理士村谷文吾