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外国に住所のある日本人、外国人の手続き

公開日:2020-12-15 12:00

目次


グローバル社会とわざわざ口にするのが少し気が引けるくらい国際化が進んでいる昨今、
相続においても海外在住者、外国人が絡むケースも増えてまいりました。

相続には多くの場合印鑑証明書が必要になりますが、
印鑑登録制度を採用している国は日本くらいで(韓国は段階的に廃止している)
ほとんどの国では印鑑登録制度がないのが当たり前なのです。

 

では、印鑑証明書の代わりになるものとして何を用いるかというと、
海外在住の外国人及び日本に住所を有していない日本人の場合は、
その地の公証役場に当たる役所でとる署名証明(サイン証明)を用いる事が多いです。

不動産登記など法務局で行う業務であれば、
法務局と事前に打ち合わせは必要ですが、それでほとんど問題なく手続きできてきました。

銀行や証券会社などに提出される場合は、
その機関の判断基準によって変わりうるので注意が必要と存じます。

また、その署名証明には大きく2種類あり
①領事の面前で署名した私文書(委任状など)に、
領事が発行した証明書を合綴したもの②合綴なしで署名を単独で証明するもの
があります。

②の方が使いまわしがきいて使いやすそうなのですが、
すこし問題があります。

そもそも印鑑証明は押した陰影が証明書に記載されている陰影と
完全に合致しているかで実印の正当性を証明します。

署名となると本人が書いたとしても筆跡を全く同じというわけにはいかず、
見る人の解釈に委ねられるところになってしまいます。

逐一筆跡鑑定するわけにもいきませんし。

もし、違うと判断された場合は押し問答にならざるを得ません。

そのため、実務家は支障がない限りなるべく①の署名証明を使います。
使いまわしがきかないので不便ではありますが、取り直しなどの手間をかけるのは取得者に
大きな負担をかけてしまうからです。

行政手続きにおいて一部、印鑑制度を見直す流れが出てきていますが、
登記制度など本人の意思を厳格に証明するシーンにおいては、まだまだ現役のようです。

 

執筆:小倉司法書士事務所・小倉大輔