売却時抑えたい!不動産の価値とは
公開日:2020-12-17 12:00
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住宅の「寿命」がどのくらいかをご存じでしょうか。住むうえでも、そして売却や購入、投資をするうえでも住宅の「耐用年数」は見逃せないポイントになります。
しかし、「日本の住宅は寿命が短く、あっという間に価値が下がってしまう」ともいわれています。大事な資産である不動産はどれぐらいの寿命があり、年数によってどのように価値を変えていくのでしょうか。
住宅の耐用年数には『法定耐用年数』『経済的残存耐用年数』『物理的耐用年数』といった考え方があります。
〇法定耐用年数......税法上その建物に価値があるとされる期間で、資産の種類や構造、用
途によって一律に決められているもの
〇経済的残存耐用年数......その建物が実際にあとどの程度使えるかを示すもの。劣化の
程度や建物の機能、今後必要となる補修やメンテナンス費用などによって算定される。構
造が同じであっても、建物ごとに数値は異なる
〇物理的耐用年数......建物そのものが劣化して使用できなくなるまでの年数を示すもの
「このなかで私たちが最もよく目にするのが『法定耐用年数』です。機械や車など、モノにはそれぞれ個別の耐用年数があり、住宅では鉄筋や木造などの構造によって大きく異なります。現状ではこの法定耐用年数によって建物の価値を判定することが多くなっています」
・鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造......47年
・れんが造、石造、ブロック造......38年
・金属造......骨格材の肉厚4mm超:34年
・木造、合成樹脂造......22年
・木造モルタル造......20年
法定耐用年数は「法定」とある通り、もともと減価償却費を計算するための指標であって、現実的な寿命にひもづいているわけではありません。実際の建物はどれぐらいもつものなのでしょうか?
「国土交通省のデータで『滅失住宅の平均築後年数の比較 』を見てみましょう。減失住宅とは、解体や取り壊しなどでなくなった住宅のことです。つまり、取り壊された住宅の平均寿命です。日本とアメリカ、イギリスの数値が比較されていますが、アメリカ 66.6 年、イギリス 80.6 年に対し、日本は32.1年とやはり短寿命です」
30年ちょっとという短さに驚きますが、こちらはあくまで取り壊された住宅の平均寿命。取り壊されず、さらに長く住み続けられる長寿命物件もあります。
「建物が実際にどれだけの期間住めるかは、どのような住まわれ方をしたのか、メンテナンスの頻度などによってまちまちとなります。きちんとお手入れされてきた建物は法定耐用年数より長く持ちますし、メンテナンスをあまりしてこなかった建物は劣化が生じもっと早く住めなくなるケースもあります」中古住宅の資産価値は法定耐用年数によって一律に判定されることがほとんどですが、新たな法律の施行により、徐々に状況も変わりつつあるとか。法定耐用年数の一択から、より多角的な判断、精査がされていくようです。
「2000年に『住宅の品質確保の促進等に関する法律』、2009年に『長期優良住宅の普及の促進に関する法律』が施行され、高品質で長持ちする仕様の住宅が供給されるようになりました。近い将来、これらの優良な住宅が中古住宅として市場に出回るようになると、法定耐用年数だけでなく、経済的残存耐用年数や物理的耐用年数など、その他の条件も加味して判断されるようになるでしょう」
そのほか、建物の劣化に対する対応年数を基準としたもので「等級1〜等級3」に分けた劣化対策等級も建物維持管理の指標となります。
どのような品質で建てられたのか。建った後には適切な時期に適切なメンテナンスを施されてきたか。メンテナンスの履歴をきちんと残してあるか。今後は、これらのポイントが住宅の具体的な判定材料になっていくでしょう。不動産の売却を考えている方は、それらについてしっかりと対策をしておいてください
建築技術が進歩し、建物の耐用年数は増しています。建物を長寿命化し、価値を減衰させないためには、物件のポテンシャルを見極め、メンテナンスまで長期的に見据えていく必要がありそうです。
執筆:株式会社プロバンク 永関