カテゴリー検索

アパート相続手続きについて

公開日:2020-12-20 12:00

目次


賃貸マンション・アパートを相続した場合にはどうすれば良いか?についてお話させて頂きます。被相続人が賃貸マンション・アパートを所有していた場合にはどのようにすれば良いのでしょうか。

大きな資産を持っている事になるのですが、一方で借金を抱えて赤字という可能性もありますので、まず相続をするかどうかを決める必要があります。その上で相続した賃貸マンション・アパートの賃貸経営を続けるのか、売却をしてしまうのか、という事を決めて手続をしていくことになります。

 

賃貸マンション・アパートを相続する際に、まず考えるべきことは、「相続をするかどうか」という事で、具体的には相続を承認するのか、相続放棄をするのかを決める必要があります。

賃貸マンション・アパートといえば賃貸収入で安泰、というイメージもありますが、購入時に借り入れをして購入しても空室が埋まらないような場合には赤字となることもあります。

また、古い物件の借り入れをする場合には、修繕などの必要も出てきます。

もし賃貸マンション・アパートを相続しても賃貸経営が成り立たないような場合には、相続放棄をして相続をしないということも検討すべきといえます。

 

相続の承認の方法ですが、普通に相続をする単純承認と、プラスの財産の範囲で相続をする限定承認という方法があります。

負債が明らかで相続をしたくない、賃貸は他の相続人にまかせてしまって自分は相続に加わらない、という場合には相続放棄をします。

 

次に相続した場合の手続きについて説明をしていきます。

 

  アパート・マンションの賃借人に連絡をします。

不動産管理会社に依頼をしているような場合には管理会社が代行してくれることもありますが、そうでない場合には賃借人に連絡をしておいて、別の相続人からの賃料の二重請求などの手違いが起きないように、相続が発生したことを知らせておきましょう。

 

  遺産分割協議を行います。

不動産は誰の所有にするかをはじめとした遺産についての話し合いを行います。協議の結果は相続登記に必要となりますので、遺産分割協議書を作成して残します。

 

 

  遺産分割協議書に従って相続登記を行います。

④遺産分割の内容を賃借人に連絡します。この連絡にあたって以後の賃料の支払先や支払方法についても伝えることになるのが通常です。

 

⑤不動産管理業者・銀行の担当者など賃貸マンション・アパートの経営に携わっている関係者にも連絡を行います。

 

⑥遺産分割協議が長引く場合には、役所に対して、相続人の中で不動産の固定資産税の支払いについての相続人の窓口となる相続人代表者指定届を提出しておきます。なお、相続人代表者指定届の提出は、納税通知書を受け取る人を指定する手続に過ぎず、その代表者が相続したことになるわけではありません。

 

⑦被相続人が亡くなるまでに得ていた賃料収入については、相続人が、被相続人の所得として準確定申告を行う必要があります。準確定申告は相続を知った日の翌日から4ヶ月以内に行う必要があります。

 

賃貸マンション・アパートを持っているような場合には、遺産が相続税の基礎控除の額を超えることが多いです。

その場合には、相続税申告も必要となります。

相続税申告は相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に行う必要があります。賃貸している不動産についての計算式は非常に難しいので、税理士に相談・依頼することを考えておきましょう

 

売却する場合の注意点

老朽化したアパートを売却する場合、建物ごと収益物件として売却する方法と、建物を解体して更地で売却する方法があります。

 

入居者がいる建物をそのままで売却することを「オーナーチェンジ」と言います。その場合、買主は、年間の純利益を期待利回りで割った「収益還元価格」で不動産を購入するかを判断します。一般的に収益還元価格は、土地相場価格よりも大幅に安くなってしまいます。

 

また、そもそも空室だらけ、滞納者がいる、多額の修繕費がかかる、契約書がないなどの問題をかかえている老朽化したアパートは買い手がつきづらく、買い手が見つかってもさらに買いたたかれます。(値段がさがります)

 

 

一方、建物を解体してから売却する場合は、土地の相場価格で売却できるので、建物ごと売却するよりも高額で売れる可能性が高くなります。

しかし、解体するためには入居者の立退きが必要です。ところが、一般的な賃貸契約では入居者の借家権が強いため、立ち退きを拒絶されると入居者に住み続けられることになります。また立ち退いてもらえたとしても、多額の立退料を要求されたり、立退きまでに数年単位の時間がかかることもあります。どちらの方法で売却するかを検討し、早い段階から準備を始めることが望ましいと言えます。

建て替えの場合も売却と同様、入居者が立退かないと進められないため、実際にはなかなかスムーズに進みません。

 

立退きにはお金と時間がかかりますが、まずは早く行動を起こすことが大切です。その際には、弁護士や不動産会社などに相談をしながら、少しでもスムーズに進められるよう手続きを始めましょう。


執筆:株式会社プロバンク 千野