遺留分とは
公開日:2020-12-22 12:00
目次
遺留分とは、一言でいうと「相続人に法律で保障された最低限の相続分」のことです。
相続が起きると、法定相続人は自分の法定相続分に応じた遺産を取得するのが基本です。
ポイントは下記の4つです
遺留分は法律で保障される最低限の相続分!
遺留分は法定相続人(兄弟姉妹以外)に認められている!
遺留分は放棄することもできる
遺留分を侵害されたら遺留分侵害額請求権を行使!(時効があるので要注意)
ここに夫、妻、子供2人のご家族(相続1億円)がいたとします。
この度、夫に相続が発生してしまいました。
悲しみに暮れる中、ご主人の遺品を整理していると、金庫の中から遺言書がでてきました。
家族全員で、その遺言書を開けてみると、中にはとんでもない内容が書かれていました。
私の遺産は全て愛人に残します
遺言書の中身には、なんと「私の遺産は全て愛人に残します」と書いてありました!
こういった遺言書があった場合、ご主人の財産は全て愛人のもとに渡ってしまうでしょうか?
渡ってしまったら困りますよね。
残された家族(特に奥様)は生活できなくなってしまいます。
そうなのです。こういったシチュエーションででてくるのが、遺留分なのです。
遺留分は一言でいうと、残された家族の生活を保障するために、最低限の金額は相続できる権利のことをいいます。
ここでのポイントは、あくまで遺留分は権利であるということです。もし、遺言書に「あなたに遺産はまったくあげません」と書かれていたとしても、当の本人が、「それでも構わないですよ」ということであれば、問題ありません。あくまで権利ですので、権利を行使するかどうかは本人の自由です。
しかし、「遺産がもらえないなんて困る!」という場合には、愛人に対して「遺留分までの遺産は返せ!」と言えば、愛人はその人たちに対して、遺産を返さなければいけないことになります。
相続人はどれくらいの遺留分が認められているのでしょうか。
下記表をご参照ください。
・3人に認められる遺留分:1億円×2分の1=5000万円
・配偶者の相続分:5000万円×2分の1=2500万円
・長男の相続分 :5000万円×2分の1×2分の1=1250万円
・次男の相続分 :5000万円×2分の1×2分の1=1250万円
遺留分侵害額請求の時効は1年が基本!
遺留分侵害額請求権はいつでも行使できるという訳でありません。
いつでも行使できるなんて事になってしまうと、相続が発生してから20年後に「そう言えば、あの時貰った財産が少なかったから返して!」なんてことも言えるようになってしまいます。そんな長時間経ってから返してくれって言われても困りますよね・・・。
そこで、遺留分侵害額請求権が行使できる期間は、以下の2つのうちいずれかとなっています
・相続の開始or減殺すべき贈与や遺贈があったことを知ったときから1年
・相続開始時から10年
遺留分侵害額請求をするとき、話し合いで解決できずに調停や訴訟になってしまうケースが少なくありません。
弁護士に依頼したら調停や訴訟を有利に進められます。特に訴訟は素人には対応が困難なので、弁護士が必須となります。遺留分侵害額請求を行うなら、早い段階で弁護士に相談しておくのが得策です。
執筆:株式会社プロバンク 千野