介護保険について
公開日:2020-12-12 20:29
目次
かつては、子どもや家族が行うものとされていた親の介護ですが、高齢化が進むにつれ、介護を必要とする高齢者の増加や核家族化の進行、介護による離職が社会問題となりました。こうした中、家族の負担を軽減し、介護を社会全体で支えることを目的に、2000年に創設されたものが介護保険制度です。
介護保険を利用することで、介護サービスを受けた際に自己負担額を1~3割に抑えることができます。
負担額の計算方法は、年間所得合計額が160万未満の方は1割、240万~340万の方は2割
340万以上の方は3割となっています。
申請方法
市区町村の窓口で「要支援・要介護認定」の申請をします。
まず、市区町村の職員が訪問し、本人含めた家族の方々に心身状況の聞き取り調査を行います。
同時に、市区町村から主治医(かかりつけ医)に医学的見地から意見書を作成してもらうように依頼が来ます。
調査内容は全国同じです、都道府県ごとに違うということはありません。
その後、聞き取り調査と意見書を元に、医療、保健、福祉の責任者による介護認定審査会で審査が行われ介護の必要度合いが査定されます。
要支援は1~2、要介護は1~5です、数字が増えるほど症状が重くなっていきます。
申請後30日以内に認定結果が通知されます。
利用方法
要介護と認定された場合、ケアマネージャーと契約を結び介護サービス計画(ケアプラン)を作成してもらいます。
その後、自宅に配布された「介護保険被保険者証」と「介護保険負担割合証」をサービス業者に提示することで利用者負担を1~3割に抑えることができます。
要支援
要支援とは、現在は問題ないが将来的に要介護になる可能性が非常に高い状態にあることを指します。
要支援1
日常生活においてほとんど問題はないが、一部の動作(入浴、調理、家事等)において軽いケアが必要な状態
要支援2
要支援1とほとんど変わらないが、要支援1より能力的な低下がみられ
なおかつ介護予防サービスにより改善できる状態であることを指します。
要介護
要介護とは、日常生活において支障があると判断されてた状態です。
要介護の場合、介護保険のすべてのサービスを利用することができます。
要介護1
日常生活における動作(入浴、調理、排泄など)においてはっきりとした低下がみられ何らかの支援がなければ一部の日常動作をこなすのが困難な状態
要介護2
要介護1よりも状態が悪化し日常生活動作において部分的ではあれ介護が必要とはんだんされて状態
要介護3
能力が著しく衰え、歩くことや排せつが自力では不可能となり日常生活のほぼすべてに介護が必要と判断された状態
要介護4
上記の要介護3よりも能力が低下し、介護なしでは日常生活が送れず生活すべてに介護が必要な状態
要介護5
寝たきり状態となり、意思の疎通も困難な状態のことを指します。
介護休業
要介護認定を受けた家族を介護する場合、通算で93日間(3回まで分割可能)の介護休業を得ることができます。
対象となる家族は、配偶者、父母(配偶者の父母も含む)、子、祖父母、兄弟姉妹、孫です。
別居、扶養は問いません。
介護休業終了後に雇用保険から介護休業給付金が支給されます(休業開始時の賃金日額×休業日数×67%)が代わりに給与は原則として払われません。
また、介護休業中でも社会保険料や住民税は収める必要があります。
介護休業は開始2週間前までに事業主に申告しなければなりません。
事業主が適当と認めればファックスやメールでの申告も可能です。
介護休暇
要介護認定を受けている家族の介護を行う場合1年に5日まで(対象家族が二人以上なら10日まで)1日または半日単位で介護休暇を得ることができます。
介護休業と違い、後日申請書を提出する必要がありますが、当日に口頭で申請できます。
緊急時に利用するようにしましょう。
介護休業を受けるためには雇用保険に加入している必要がありますが、介護休暇はパートやアルバイトでも受けることができます。
介護休業給付金について
介護休業中の給与支給の有無は事業主の任意です。
介護休業中に収入が0もしくは著しく減少した場合、介護給付金を申請することができます。
在籍している会社を管轄しているハローワークに事業主経由で申請してください。
ただし、介護休業中の給与支払い率が13%以上の場合は減額され、80%以上は支給されないということを覚えておいてください。
介護給付金は雇用保険金から捻出されるため雇用保険未加入者(パート・アルバイトなど)は介護休業給付金制度を利用することができません。
民間介護保険
国で定められている公的介護保険のほかに民間の保険会社が行っている介護保険の事を
民間介護保険と呼びます。
加入の義務はなく、年齢制限もありません。給付額なども自分で設定できるなど通常の保険とほとんど変わりはありませんが当然、保険料を払う必要があるため家計の負担が増すというデメリットがあります。
公的介護保険は介護サービスや自己負担額1~3割などの現物支給に対して民間介護保険は現金で支給される、申請先が市区町村ではなく契約先の窓口など細かい違いがあります。
国民年金・厚生年金と個人年金のような関係だと思うと理解しやすいと思います。
執筆:株式会社絆楽