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施設入居までの流れ

公開日:2020-12-12 20:49

目次


実際に施設に入居するまでの流れを詳しく説明していきます。

 

入居する目的

老人ホームに入居するというのは非常に時間とお金がかかることもあり、安易に決められることではありません。

自分がなぜ施設に入居しようと思ったのか、その理由をもう一度考えてみましょう。

ご家族の方や、ケアマネージャーとも話し合われるのもよいと思います。

入居目的や意思がそれほど強くなく、在宅サービスや家族介護でもよいのであれば入居をされるのはもう少し先まで見送って、情報だけ少しづつ集めていくのが良いでしょう。

はっきりとした入居目的や理想の施設像があるのであればそれを紙に書くなどして忘れないようにメモしておいてください。

後々の施設探しの時、第三者に伝えるときに非常に参考になるからです。

 

入居意思の決定後にすること

施設に入居する際はケアマネージャーと相談する必要があります、同じタイミングでご家族の方にも施設入居への意思を伝え今後の活動を手伝ってもらえるようにしておくとスムーズに事が進みやすいです。

 

介護施設を探す

介護施設の探し方として、自分でインターネットや雑誌などを利用して探す、地域包括支援センターで相談する、自治体の福祉課で相談する、紹介センターを利用すると様々な方法があります。

以前はケアマネージャーが施設探しを行ってきましたが高齢者の増加とそれに伴うケアマネージャーの負担急増により、地域包括支援センターや紹介センターといった機関を利用するのが一般的になってきています。

それぞれの機関は一長一短です、別項に違いと長所短所をまとめたものを載せてありますのでよろしければご覧ください。

自分の好みに合った施設を見つけましたら、見学を申し込み実際に現地にって確かめてみましょう。実際に見てみたら想像と違ったというのはよくお聞きする話ですので見学しないまま入居を決めるというのはお勧めできません。

 

見学に行く前に

施設見学に行く前に、見学先の施設の特徴などを把握しておきましょう、紹介センターを利用して見学する場合、紹介センターの相談員が同行し施設長に対していろいろと質問をしてくれますが、そればかりに頼らず自分で施設の見るべき点を考えておくことも大切です。

そのためにホームページなどを閲覧して施設や職員のかたの雰囲気を想像しどんな質問をするべきかを想定しておきましょう。

施設の強み、良いとされている点が実際にそうなのか、自分が知りたいことの質問を考えたりなどできうる限りの準備をしていきましょう。

 

見学

実際の現地に赴いたとき、見るべき個所はたくさんありますが、見学の一日の中でそれぞれのフロアの中で最初の数分間しかチェックできないポイントがあります。

それは、「臭い」です。

人間の嗅覚は非常に敏感であるがゆえに、同じ臭いをかぎ続けていると感覚が慣れてしまい何も感じなくなってしまいます。

チェックする場所は例えば、食堂でしたら厨房から食器用洗剤や料理の臭いが漏れ出てこないか、トイレの臭い、浴室の臭い、居住スペースの臭いなどです。

多少の臭いでしたら気にしていない方も多いと思いますが、こういった臭いというのは衛生管理、安全管理の面でも重要なチェック事項になりますので気にかけておいて損はありません。消臭・脱臭といった細かいところにも気が配れるホームかどうかという判断材料になるでしょう。

臭いの部分と関連してきますが、清潔感も大きなポイントになります。

施設は建物の規模が大きいので定期的に清掃会社を呼んでいますが、もちろん毎日というわけにはいきません。

日々の清掃は職員やパートの方々がこなしています。

この日々の清掃が施設全体の清潔感に大きくかかわってくるのです。

例えば、ある施設に訪問し廊下を歩いていた時1回目の訪問時は何も感じなかったのですが、2回目の時には全体的にかすかな臭気を感じました。

これは、後日知ったのですが実は1回目の訪問時は清掃会社による全体清掃が入ったばかりの時、2回目はそこから少し時間がたった後だったのです。

このように、日々の清掃が行き届いていないと実際に生活を始めたとき臭いに困ることが多くなっていきます。

いくら人の鼻は慣れるといっても限度がありますし、たまに訪問してくれる家族や友人たちが臭いで嫌な気持ちになるというのはあまり良いことではないでしょう。

 

職員の対応もチェックポイントです。

玄関を入ると受付スペースやエントランスロビーに通じており、来客に気づいた職員があいさつしてくれます。

この来訪時のあいさつはほとんどのホーム・施設で徹底されているためあいさつされなかったということはほとんどありません。

よく見ていきたいのはそのあと、施設内を見学しているときです。

すれ違う職員方は、しっかりあいさつをしてくれるでしょうか、こんにちはと声はなくとも軽い会釈などはしてくれていたでしょうか。

また、職員同士の会話も聞けるときがあれば聞いておきましょう。

職員同士の会話にこそその施設の職員の質が凝縮されております。

例えば、入居者の前では丁寧に対応していても、職員同士の仕事会話の中ではまるで物を扱うかのようなことを言われていたらどうでしょうか。

信頼できる良い施設とは言えませんよね。

職員の方も人間なので愚痴やぶっきらぼうな対応をしてしまいたいことがあるとは思いますがそういったのは仕事以外の時間のでお願いしたいですよね。

また、介護のペースを介護者に合わせてくれているかも見所です。

全職員とは言わずとも8割以上が利用者の体調の把握し、情報共有ができている場合には食事や介護の順番が利用者優先で組み立てられていきます。

逆に情報把握ができていない杜撰なホームは職員優先のペースとなり本来優先しなければならないはずの利用者を置き去りにしてしまうなど本末転倒の事態が引き起こされます。

共有スペースにいる利用者が介護を受けるときしっかりと職員が利用者を気遣っているのかよく観察しましょう。

良いホーム・施設はこの気遣いという面も徹底されています。

ただ廊下を歩くだけでこのように見るべき点があるのですから

見学時には、施設に滞在しているすべての時間が集中する時間とも言えます。

ホームページの写真と雰囲気が違いすぎないか感じることも大切です。

インターネットによる施設探しが常識となってきた今日において残念ながら、ホームページにのみ力を入れている施設も増えてきました。

悪質な施設につかまらないためにもホームページは何回か閲覧して雰囲気をつかみ実際の雰囲気と差異がありすぎないか見極めていきましょう。

またホームや施設見学の際はメモやチェックシートを持っていくのをお勧めします。

感じたことやわかったことはしっかりとメモに書き込みあとで見返して入居への判断材料にしましょう。

紹介センターの相談員と同行している場合は紹介センターが保有しているチェックシートをもらってもよいと思います

 

体験入居

体験入居とは文字通り施設に料金を払い短期間の入居生活を送ることができます。

実際の施設での生活を体験できるので見学では見れなかった、早朝・深夜帯の職員の数、実際の居室の使い心地、騒音問題、先にいる入居者とのより近いコミュニケーションなど判断材料として非常に有力となるものがたくさんあります。

実際に体験するためには見学後(見学せずとも体験入居は可能ですが見学した後に行うことを強くお勧めします)申込書と体験入居金を用意します、場合によっては健康診断書や診断情報提供書も必要になりますのであらかじめ用意しておきましょう。

書類とお金をホーム・施設に提出後、入居審査が入ります。普段の生活状況や介護の様子、病気の具合などを確認します。

その後スタッフやケアマネと話し合い体験入居のスケジュールを決定します。

期間は一泊二日から場所によっては一ヶ月間ほどと大きく違います。

長さによって料金も変わってきますのでしっかりチェックしておきましょう。

体験入居中は食事の内容、入浴回数、レクリエーション、リハビリのスケジュールなどはすべて入居者と全く同じものが組まれますので本入居したつもりで過ごしてください。

特にご家族との面談なども入居後を想定して行ってください。

家族と同居または近居していて介護を受けてきた方は家族が常に一緒にいるというのが当然になってしまっています。そういった方が施設へと入居すると家族が

体験入居中は毎日来てくれたけど、入居後は全然来てくれなくなって寂しいというお声をよく聞きます。

入居する施設の場所によっては家族と会う回数が減ってしまうということもしっかりと考えておきましょう。

体験入居に、必要なものとしては、着替え、外履きと室内履きの2種類の靴、歯ブラシや歯磨き粉といった口腔ケア用品、シャンプーやリンスなどの入浴用品、ティッシュやおむつといった消耗品、常飲している薬などです。

新しく買う必要は特にありません、普段使いのものを旅行などの際にもっていくお泊りセットのような感覚でもっていくとよいでしょう。

体験中に不安になったことや疑問点が湧いてきたら、そのままにせず施設長やスタッフに相談・質問しましょう。体験入居は施設の深いところまで知ることのできる最後のチャンスです、一度本入居してしまうと退去するのに膨大な労力とお金がかかります。

後悔しないためにも疑問点などはすぐに質問してください。

 

施設の情報を比較検討するだけなら見学で十分な場合がほとんどです、3~4か所の施設を回り本入居前の最終確認がしたいホームのみ体験入居を利用しましょう。

体験入居が無事終了後は、ほとんどの場合ご帰宅せずそのままホーム・施設側と契約、本入居という場合が多いです。

 

ホーム・施設側との契約

重要事項説明書

入居先の施設が決まったら契約の前に施設長・本人・家族の三者での重要事項説明に移ります。

施設やホームの管理者は契約前に契約者に対して重要事項説明書を交えた詳細な説明をする義務があるからです。

これは必ず行わなければいけないことであり、仮に契約者側が「難しいことばかりでわからない、説明を飛ばしてさっさとハンコを押させてほしい」とおっしゃられたとしてもホーム・施設側はいかなる事情であろうと最後まで詳しく説明しなければならないのです。

しかし中にはこの重要事項説明を聞いてもわからないだろうからと飛ばそうとする施設もあります。

重要事項説明書の詳しい説明は国の基準や市区町村で定められている条令に義務として明記されています。

そのような条例違反を犯すような施設は信頼できないので契約取り消しをしたほうがよいでしょう。

重要事項説明書の中身はほぼすべての介護サービスに共通しています。

多少の違いはあれど大きな差異はありません。

施設の設立年月日であったり勤務職員人数であったり入居者情報だったりと大切な項目が並んでいますが最も重要なのは費用に関する項目です。

施設への入居から一か月間の月次負担、月次負担の中に含まれない特別料金の有無とその値段など、お金に関することがすべて書いてありますので必ず目を通してください。

 

入居契約書

重要事項説明書の説明を受け同意した場合は、2通の説明書に署名捺印し1通が施設側でもう1通が利用者側で保管することになります。

その後、入居契約書の説明へと移っていきます。

入居説明書とは、重要事項説明書からよりホーム・施設の説明を詳細にしたものだと思っていただいて構いません。

ホーム・施設を利用するにあたってのお金の払い方や解約の条件、やむを得ない場合での身体的拘束の実行など、サービス内容から損害賠償の条件などが事細かく書いてあります。

重要事項説明書と重複する項目もありますがそれらは契約するうえでそれほど大事な項目なのだと思ってください。

 

身元引受人

入居契約書の中には身元引受人という項目が出てきます。

身元引受人とは、ある一店を除いて身元保証人と同じです。

入居者の家賃やその他費用の支払いにおいて入居者と同じ責任を持ち入居者に有事の際にはすぐに駆け付けられる方を言います。

金銭的な面では身元保証人と変わりありませんが、身元引受人の場合、それに加えて

上記の通り入居者の容態の変化に速やかに対応し、死亡時には入居者の荷物などを撤去するという義務があるのです。

身元引受人は法律上の決まりはありません、入居者が選定することなのです。

身元引受人は全国ほとんどのホーム・施設で必要とされているため、ホーム・施設への入居を考えた際には必ず身元引受人を探しておく必要があるのです。

どうしても引受人が見つからない場合は、選択肢は大きく絞られますが1割弱のホーム・施設では身元引受人不要と謳っている施設もございます。

また、身元引受人が見つからない方に対して家賃責務保証という保証制度を提供している公的機関や団体もあります。

こちらの制度を利用していれば入居を認めてくれるホームもございますので、入居条件や入居に関する留意事項の項目は確認しておいてください。

近年増えてきている任意後見人を身元引受人として扱っているホーム・施設もございます。

このように、引受人がいない場合でもいろいろな制度を利用することによって入居できるホームも多数存在しますのであきらめずに探してみましょう。

 

入居

すべての書類契約が済みましたらいよいよ入居となります。

入居時に必要なものは体験入居に持参していったものと同じです。

着替え、歯ブラシなどの口腔ケア品、シャンプーやリンス(老人ホームに設置されていることが多いですが好みの浴室用品があるなら持っておいて損はありません)ティッシュやおむつといった消耗品、常備薬、それらに加えて家具の持ち込みを許可している施設なら持っていきたい家具も追加してください。

持っていく家具の選定に伴い、自宅内の不要なものはどんどん処分していくことをお勧めします。

物が多いと親族に自宅に物を取ってきてもらうときにわかりづらいですし、自宅を処分する場合でも少しづづ分けてやっておいたほうが一度の負担が少なくなります。

もし、荷物が多く運搬時にホーム・施設に傷をつけてしまうか心配であれば運送会社を利用しましょう。

運搬時にできた傷は補償問題になりトラブルの原因になります。

老人ホームの居室は自宅より狭くなることが多いので取捨選択はきっちりとしておきましょう。

ここまでが入居までの流れとなります、工程や調べることも多く大変面倒に思われると思いますが、いつかは必ず向き合わなければいけない問題なので何度も繰り返し申しますが早め早めに考えて行動していきましょう。

早く動いた分だけ後々が非常に楽になってきます。

1日1施設のホームページを見るだけでも良いので行動するという癖をつけておくと実際に行動するときにスムーズに動くことができます。

入居されましたら、あとはのんびりとお過ごしになり豊かなセカンドライフをお楽しみください。

 

 


 

 執筆:株式会社絆楽