カテゴリー検索

遺留分・代襲相続・代償分割

公開日:2020-12-12 21:12

目次


・遺留分

遺留分とは、一定の範囲の法定相続人に認められる、最低限の遺産取得分のことです。
民法は、被相続人と密接な関係のある人を法定相続人と定めて遺産相続をさせることにより、なるべく被相続人に近かった人が多くの遺産を引き継げるように配慮していますが、反面、被相続人自身の意思も尊重しなければならないので、遺言や贈与によって財産を処分する自由も認めています。しかし、完全に自由な処分を認めてしまえば相続人の期待が裏切られてしまうので、法律で一定の範囲の近しい相続人に遺留分を認めたのです。
遺留分を有するのは配偶者、直系卑属(子、代襲相続人である孫)、直系尊属(父母)であり、兄弟姉妹には遺留分はありません。
遺留分の割合
直系尊属のみ・・・遺留分算定の基礎となる財産の額の3分の1
その他の場合・・・遺留分算定の基礎となる財産の額の2分の1



・代襲相続
代襲相続とは、被相続人の死亡以前に被相続人の子や兄弟姉妹が死亡等により相続権を失っていた場合に発生する相続で、簡単に言えばすでに死亡してしまったこれらの人の代わりに、その子(被相続人から見て孫や甥姪)がこれらの人の相続権を承継する制度のことを言います。このとき、本来相続人になるはずだった人のことを「被代襲者」、代わりに相続人になった孫や甥姪を「代襲者」または「代襲相続人」と呼びます。



・代償分割
相続人全員の遺産分割の結果、法定相続分以上の遺産を取得した相続人が、他の相続人に対して、債務を負担する(代償金を支払う)という遺産分割の方法を、代償分割といいます。
代償分割が行なわれるのは、相続人全員が納得するような遺産分割が難しいようなケース、たとえば遺産が分けにくいものである場合です。遺された財産が土地建物やマンションのような不動産で、分けにくい場合、ある相続人に不動産を相続させる代わりに、他の相続人に対して代償金を支払うという方法がよく行われる。
代償分割を利用して財産を贈与しても、これは相続税の課税対象となっている財産ですので、新たに贈与税が課されることはありません。ただし、代償分割で贈与されたものであることを証明できなければただの贈与とみなされていまいますので、上記例のように遺産分割協議書に必ず「代償として支払う」ということを明記しておく必要があります。


執筆:ファイナンシャルプランナー鈴木 裕二