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相続税の計算(国税庁ホームページより)

公開日:2020-12-12 21:20

目次


相続税の一般的な計算は、次の順序で行います。


1 
各人の課税価格の計算
まず、相続や遺贈及び相続時精算課税の適用を受ける贈与によって財産を取得した人ごとに、課税価格を次のように計算します。

相続又は遺贈により取得した財産の価格+みなし相続等により取得した財産の価格-非課税財産の価格+相続時精算課税に係る贈与財産の価格(注1-債務及び葬式費用の額=純資産価格(赤字のときは0純資産価格+相続開始前3年以内の贈与財産の価格(注2)=各人の課税価格(千円未満切捨て)
(注)
1 
相続時精算課税の特定贈与者(相続時精算課税に係る贈与者をいいます。)が死亡した場合には、相続時精算課税の適用者(受贈者)が特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得しない場合であっても、相続時精算課税の適用を受けた贈与財産は相続又は遺贈により取得したものとみなされ、贈与の時の価額で相続税の課税価格に算入されることになります。
2 
相続又は遺贈により財産を取得した相続人等が、相続開始前3年以内にその被相続人からの暦年課税に係る贈与によって取得した財産の価額をいいます。
2 
相続税の総額の計算
相続税の総額は、次のように計算します。

上記1で計算した各人の課税価格を合計して、課税価格の合計額を計算します。
各相続人の課税価格の合計 課税価格の合計額
課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて、課税される遺産の総額を計算します。
課税価格の合計額 基礎控除額(3,000万円 600万円 × 法定相続人の数)
課税遺産総額
(
)
1 
法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいいます。
2 
法定相続人のなかに養子がいる場合の法定相続人の数は、次のとおりとなります。
(1) 
被相続人に実子がいる場合は、養子のうち1人までを法定相続人に含めます。
(2) 
被相続人に実子がいない場合は、養子のうち2人までを法定相続人に含めます。
上記ロで計算した課税遺産総額を、各法定相続人が民法に定める法定相続分に従って取得したものとして、各法定相続人の取得金額を計算します。
課税遺産総額 × 各法定相続人の法定相続分 法定相続分に応ずる各法定相続人の取得金額(千円未満切り捨て)

上記ハで計算した各法定相続人ごとの取得金額に税率を乗じて相続税の総額の基となる税額を算出します。
法定相続分に応ずる各法定相続人の取得金額 × 税率 算出税額

上記ニで計算した各法定相続人ごとの算出税額を合計して相続税の総額を計算します。
各法定相続人ごとの算出税額の合計=相続税の総額

3 
各人ごとの相続税額の計算
上記2で計算した相続税の総額を、財産を取得した人の課税価格に応じて割り振って、財産を取得した人ごとの税額を計算します。

相続税の総額 × 各人の課税価格 ÷ 課税価格の合計額 各相続人等の税額

4 
各人の納付税額の計算
上記3で計算した各相続人等の税額から各種の税額控除額を差し引いた残りの額が各人の納付税額になります。
ただし、財産を取得した人が被相続人の配偶者、父母、子供以外の者である場合、税額控除を差し引く前の相続税額にその20%相当額を加算した後、税額控除額を差し引きます。
なお、子供が被相続人の死亡以前に死亡しているときの孫(その子供の子)については、相続税額にその20%相当額を加算する必要はありませんが、子供が被相続人の死亡以前に死亡していない場合の被相続人の養子である孫については加算する必要があります。
各種の税額控除等は次の順序で計算します。
各相続人等の税額+相続税額の2割加算-暦年課税分の贈与税額控除-配偶者の税額軽減-未成年者控除-障害者控除-相次相続控除-外国税額控除=各相続人等の控除後の税額(赤字の場合は0 各相続人等の控除後の税額-相続時精算課税分の贈与税相当額(外国税額控除前の税額)=各相続人等の納付すべき税額(

(
) 相続時精算課税分の贈与税相当額を控除した結果、赤字の場合又は「0」のときには、医療法人持分税額控除額は「0」となります。
各相続人等の納付すべき税額が赤字の場合
赤字となった金額(マイナスは付けません) マイナス 相続時精算課税分の贈与税の計算をする際、控除した外国税額 イコール 還付を受けることができる金額



・相続税の税率
相続税額の算出方法は、各人が相続などで実際に取得した財産に直接税率を乗じるというものではありません。
正味の遺産額から基礎控除額を差し引いた残りの額を民法に定める相続分によりあん分した額に税率を乗じます。この場合、民法に定める相続分は基礎控除額を計算するときに用いる法定相続人の数に応じた相続分(法定相続分)により計算します。
実際の計算に当たっては、法定相続分によりあん分した法定相続分に応ずる取得金額を下表に当てはめて計算し、算出された金額が相続税の総額の基となる税額となります。

相続税の税率
【平成2711日以後の場合】相続税の速算表
法定相続分に応ずる取得金額   税率      控除額
1,000
万円以下       10     
3,000
万円以下       15     50万円
5,000
万円以下       20     200万円
1
億円以下   30     700万円
2
億円以下   40     1,700万円
3
億円以下   45     2,700万円
6
億円以下   50     4,200万円
6
億円超    55     7,200万円



・相続税の配偶者控除
相続税の配偶者控除とは、配偶者が相続した遺産のうち課税対象となるものの額が16,000万円までであれば、配偶者に相続税が課税されない制度です。また、16,000万円を超えても、配偶者の法定相続分までであれば、相続税が課税されません。
配偶者控除を認める背景には、次のようなものがあります。
子が相続した場合に比べて、配偶者が相続した場合は次の相続までの期間が短く、一つの財産に対する税負担が重くなりすぎるため。
配偶者が被相続人の財産形成に協力したことを考慮するとともに、配偶者の生活を保障するため。



・相続税の2割加算
相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含みます。)及び配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算されます。
例えば、以下の方は相続税額の2割加算の対象になります。
(1) 
被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した人で、被相続人の配偶者、父母、子ではない人(例示:被相続人の兄弟姉妹や、おい、めいとして相続人となった人)
(2) 
被相続人の養子として相続人となった人で、その被相続人の孫でもある人のうち、代襲相続人にはなっていない人



・三年以内の贈与について
相続などにより財産を取得した人が、被相続人からその相続開始前3年以内(死亡の日からさかのぼって3年前の日から死亡の日までの間)に贈与を受けた財産があるときには、その人の相続税の課税価格に贈与を受けた財産の贈与の時の価額を加算します。
したがって、生前贈与により相続財産を減らす対策を考える場合、被相続人の年齢を考慮して、贈与税の基礎控除110万円を超えた金額の贈与も行われる場合があります。
孫への3年以内の贈与は原則として加算されませんが、
代襲相続や被相続人の養子になっている場合
遺書により財産を遺贈された場合
被相続人の生命保険の受取人が孫になっている場合
は、3年以内の贈与も相続税の課税対象となります。



執筆:ファイナンシャルプランナー鈴木 裕二