相続税の節税対策と納税資金対策、実際の相続の際の保険手続きについて
公開日:2020-12-12 21:52
目次
・相続税の節税対策
相続税の節税対策とは相続税の課税対象となる財産を減らしたり、様々な特例を利用したりすることで相続税の金額を抑えることです。
① 生前贈与で相続財産を減らす
② 生命保険金等の非課税枠を利用する
③ 死亡退職金等の非課税枠を利用する
④ 養子縁組で法定相続人を増やす
⑤ 小規模宅地等の特例を利用する
⑥ 更地に賃貸アパートを建築する
⑦ 相続税申告の税理士報酬を前払いする
⑧ 教育資金贈与信託を利用する
・納税資金対策
相続税は現金による一括納付が原則です。金融資産による納税余力を把握して、換金しやすい資産の確保が必要になってきます。効果的な対策として「資産の組み換え」・「年金・保険商品の活用」・「生前贈与の活用」などがあります。
① 資産の組み換え
納税資金(現金)が不足する場合には、換金しにくい財産を生前に処分するなどして納税資金を確保しておくといった方法があります。
② 年金・保険商品の活用
生命保険金は原則、遺産分割の対象外になりますので、受取人単独で請求が可能です。また、死亡保険金は必要書類がそろえば数日で現金化が可能です。
③ 生前贈与の活用
贈与を受けた方が、贈与により取得した金銭等を蓄えることで、納税資金に充てることができます。
・生命保険金はすぐ受け取れる?
原則、請求に必要なすべての書類が保険会社に到着した日の翌営業日から数えて約款に記載された営業日(通常は5営業日)以内に受け取れます。
一定の条件付きで保険金の即日払をしている保険会社もあります。
・孫に生命保険をかける
孫を被保険者として祖父母が保険料を負担する(契約者)生命保険に加入した場合、契約者である祖父母が亡くなった時の生命保険の相続税評価額は解約返戻金の金額となります。生命保険の中には初期の解約返戻金が低額で、後で解約返戻金の金額が上がるものがあります。このような生命保険を孫にかけ、解約返戻金の金額が低いうちに相続させることで相続税を節税することができます。
・生命保険金の非課税枠が使えないケース
契約者と被保険者が同じ場合、受け取った保険金は相続税の課税対象となりますが、保険金受取人が法定相続人以外の場合、生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)は活用できません。
例えば、祖父が契約者・被保険者、保険金受取人が孫のような形ですと、保険金の非課税枠は活用できません(代襲相続を除く)。孫が受け取った保険金はみなし相続財産ですので、相続税税の納付が必要な場合は、2割加算となりますので注意が必要です。その一方で、遺言書等を作成しないで孫に財産を残したい場合には、孫を受取人に指定するだけで遺産を残せます。非課税枠が不要(あるいは既に超えている場合)だったり、相続税が課せられない場合等は、この形で孫に遺産を残す方法が有効です。
・生命保険金は受取人固有の財産
通常、生命保険金は相続財産ではなく、保険契約に基づき受取人が受け取るものでああるため、受取人固有の財産として考えることができます。よって、生命保険金が遺産分割の対象とならず、原則として遺産分割協議書への記載は不要ということになります。この場合には保険契約に定められた受取人が生命保険金を受け取ることとなります。
執筆:ファイナンシャルプランナー鈴木 裕二