行方不明の家族がいてかえってくる見込みがない財産を相続する
公開日:2020-11-08 12:00
目次
従来の住所から去ったものを不在者といいます。
市区町村長に死亡届を出さない限り、
不在者も生存しているものとして扱わないといけないのは当然ですが、
帰ってくる見込みが全くない場合、
いつまでも不在者を生きているものとして扱うことによって、
残されたものは相続人にもなれず、不都合が生じることがあります。
そのため、民法では失踪宣告という制度を設けています。
不在者が一定期間生死不明の状態が続いた場合、家庭裁判所は申し立てを受け、
宣告する事によって、そのものを死亡したものとみなす制度です。
通常の失踪は生死不明が7年、
墜落した飛行機や沈没船舶にのっていたなど、
死亡する可能性が高い場合は1年(特別失踪という)
請求権者も利害関係人(配偶者、亡くなった場合相続になる人)に
限られるなどの要件があります。
人ひとりを死亡扱いにするので、
探せる限り探した資料を添付することももちろん必要です。
警察に捜索願を出す、住所地に郵便を送っても宛所なしでかえってきた通知等。
外国に居住している可能性が高い場合は、
外務省が実施する所在調査という制度もあります。
調査の結果見つからなかった資料なども添付する事があります。
また、在外公館に情報が残っていた場合、捜索のてがかりになることもあるでしょう。
宣告が出た場合、不在者は死亡したものとみなされ、財産は相続人に承継される。
つまり残された家族は、相続人という立場になり、
不在者名義の不動産を売却したり、
銀行口座を解約したりを相続財産として承継することができるようになります。
執筆:小倉司法書士事務所・小倉大輔