家族信託のデメリット
公開日:2020-11-28 15:36
目次
(1)成年後見や遺言でないと対応できないケースがある。
例としてあげると、家族信託は財産の管理・処分を行うものであるのに対して、成年後見制度は本人の身上監護も念頭においています。
家族信託に身上監護に関する内容を含めることも可能ではありますが、本人の法定代理人である成年後見人でなければ適切な身上監護ができないケースもあるので注意が必要です。
(2)受託者の選定
家族信託は、財産を適切に管理・処分できて、かつ信頼できる家族(親族)がいるかどうかが重要なポイントとなります。管理がずさんだと、相続人の中から不満の声が上がり、トラブルになる可能性もあるためです。家族信託組成の一番のポイントは、受託者の選定にあるともいえます。
(3)財産の名義人が受託者に変更される
家族信託を活用すると、財産の名義が本人から受託者に変わります。このため、自分の財産が自分名義でなくなることに抵抗感を持つ人もいらっしゃいます。
(4)高い節税効果は期待できない。
家族信託そのものには節税効果がありません。受益者が財産を取得するわけではないのに、財産を取得したとみなされて、税務上の負担はむしろ大きくなる場合があります。
(5)遺留分侵害額請求(旧:遺留分減殺請求)の対象となる可能性がある
信託では受益者が死亡した後、残った財産の承継者(ここでは「第2受益者」と称します)を指定できます。この第2受益者が取得する受益権について、遺留分侵害額請求の対象となるか否かに争いがあります。現在のところ確定判例がありませんので、取得した受益権が遺留分減殺の対象になるものとして備える必要があります。
執筆:司法書士法人 鴨宮パートナーズ