家族信託の手続き、及び費用
公開日:2020-11-28 15:38
目次
家族信託組成の手続き種類と、家族信託にかかる費用について見ていきましょう。
(1)家族信託を組成する手続きの種類
方法1:委託者と受託者との信託契約によるもの
委託者と受託者で内容を決定し、契約書を作成すれば、信託契約で信託が成立します。
方法2:委託者の遺言によるもの
遺言信託といって、遺言で信託を組成することができます。
方法3:委託者兼受託者が行う信託宣言によるもの
自己信託といい、委託者が自ら受託者となる信託です。委託者が自己の財産を他人のために管理処分する旨を宣言(信託宣言)することによって信託を設定します。
(2)家族信託にかかる費用
家族信託そのものは、基本的にお金のかかるものではありません。ただ、以下の場合は別途費用が発生します。
①公正証書で作成する場合 → 公証役場への手数料等
②信託財産に不動産がある場合 →信託登記の登録免許税及び司法書士への報酬等
③信託監督人や受益者代理人を置く場合 → 信託管理人や受益者代理人への報酬等
家族信託を検討すべき人のまとめ
以下に当てはまる場合は、家族信託の検討をお勧めいたします。
(1)自分自身や家族の判断能力低下に備えた生前対策でお悩みの方
・自身や家族の判断能力が低下した場合に備えて、家族が財産の管理・処分をできるようにしたい
・介護費用の捻出方法として、自身あるいは家族名義の財産処分を検討している
・不動産の相続に関するトラブルに備えたい
・成年後見制度の利用に伴う手続きやその後の事務負担を考えて、別の方法を考えている
(2)二次相続の対策を考えている方
・子供がおらず、自身の兄弟姉妹や甥・姪などに遺産を引き継がせたい
・相続開始後の遺産の分配先を指定したい
(3)事業承継対策を講じておきたい方
事業承継するにあたり、遺留分対策や持ち株の分散防止策を講じたい
(4)相続発生後に資産が共有状態となり、処分できない状態になってしまうのを避けたい場合
(5)相続人全員の合意があったことを書面に残しておきたい場合
家族信託を行う際に整理しておくこと
家族信託はあなたの資産を信頼できる家族に託する制度です。利用を検討される際には、あらかじめ以下の点を整理しておくとよいと思います。
(1)信託契約を結ぶ目的を明確にする
誰に対して何を実現したいのかを明確にしましょう。
(2)どの財産を信託するのか
上記目的をうけ、保有資産のうち何を信託するのかを決める必要があります
(3)受託者を誰にするか
信頼できる人や、委託者の意図を正確に理解してくれる方が望ましいです。
なお、家族が受託者になる場合は、外部からは資産の管理・運用の実態が見えにくくなります。
それだけに、相続人全員の理解も必要となってきますので、家族間でしっかり話し合いが必要です。
将来のトラブルを防止するため、家族信託の内容を監視・監督するために信託監督人を設定することも重要です。また、受託者を複数設定しておけば、受託者間のチェック機能が生まれます。
執筆:司法書士法人 鴨宮パートナーズ