家族信託を専門家に依頼するメリット
公開日:2020-11-28 15:41
目次
家族信託は、以下の理由により、専門家に依頼した方がより円滑な生前対策や財産継承が行えます。
(1)契約書の作成には注意が必要
家族信託も信託契約の一種ですので、契約そのものは口頭で合意が得られれば成立します。ただ、信託内容を明らかにする意味でも、契約書の存在は重要です。この契約書を作成する際には、以下の点に注意を要します。
・生前対策として何を行うのが適切なのか
・契約内容の整合性や正当性の判断
・将来起こる可能性のあるトラブルに関しても対応方法を明記すべき
(2)遺留分対策
遺留分は民法上、法定相続人に最低限保障された相続財産のことです。遺留分を侵害された相続人が遺留分侵害額請求を行うことで遺産に相当する金銭を取り戻すことができます。
家族信託に関しては事例も少なく、判例も示されていないので、専門家の意見が必須になるでしょう。
なお、家族信託の場合、もし遺留分を侵害されていたら下記のように考えるのが通説とされています。
遺言信託の場合も遺留分の問題は生じる
・後継ぎ遺贈型受益者連続信託の、委託者の死亡時点で受益権を持つ人に対しては遺留分の問題は生じる。
・後継ぎ遺贈型受益者連続信託の、委託者ではない受益者Aの死亡によって受益権が消滅し、他のBが新たに受益権を取得した時に、死亡したAの相続についてBがAの法定相続人の遺留分侵害の問題は生じ得ない。
※後継ぎ遺贈とは
遺贈者Aが自分の死後に財産をBに与えて、Bが死亡した後にCに与えるという内容の遺贈のことです。Cに与えるという部分については無効になるとされています。
(3)公正証書が必須となるケースがある
自己信託を行う場合は、必ず公正証書(公証人が、法律にしたがって作成する公文書)にしなくてはいけません。公証人とのやり取りは、ご自身で行うよりも専門家に依頼したほうがスムーズになります。
まとめ
家族信託は後見制度や遺言よりも幅広い対策ができる反面、信託契約の内容は状況によって柔軟に設計をする必要があります。遺言や後見制度との組み合わせも考慮しつつ、専門家とよく相談することを強くおすすめします。
執筆:司法書士法人 鴨宮パートナーズ