カテゴリー検索

保険契約の中での様々な用語を解説

公開日:2020-12-12 21:33

目次



・保険契約者

保険会社と保険の契約を結んだ人をいいます。保険契約者には、契約内容の変更(名義変更や住所変更など)をする権利と同時に、保険料を支払う義務があります。保険契約者と保障の対象となる人(被保険者)は、同一人物の場合(本人が自分のためにかける)や、別人の場合(例えば夫が妻にかける)があります。



・被保険者
被保険者とは、保険の対象となっている人のことをいいます。
被保険者が死亡した場合や、病気・ケガなどによって入院した場合等に、保険金や給付金が支払われます。



・保険金受取人
死亡保険では、死亡保険金を保険会社から受け取る人をいいます。
契約者があらかじめ指定して変更も可能です。複数人を指定することもできます。
受取人に指定できるのは一定範囲の親族に限られるが、保険会社によっては内縁の相手や同性パートナーを指定することもできます。



・指定代理請求人
指定代理請求人とは、被保険者が高度障害保険金や給付金をご自分で請求できない約款所定の事情があるときに、代理として請求を行える人をいいます。例えば、事故や病気などで寝たきり状態となり、受取人である被保険者ご本人が意思表示できない場合などに、高度障害保険金や給付金を指定代理請求人が請求できます。
指定代理請求人も保険会社によって指定できる範囲が決まられています。



内縁
内縁とは婚姻の届出はないが社会生活上、夫婦同様の実態がある男女関係を指します。
内縁の妻という存在も法律的に婚姻に準じるものとして保護されます。ただ、婚姻関係にある「妻」とは法律上区別される部分もあります。
内縁関係として認定されるかどうかは、事実関係のいくつかを満たして総合的に考慮・判断されます。
内縁関係であると証明できる条件は以下の通りです。
       ふたりが婚姻の意思を持って夫婦共同生活を営んでいること
       婚姻の届出はしておらず、法律上は夫婦として認められない
       社会的にふたりが夫婦と認められていること
 
具体的には、結婚式を挙げていること、同居継続期間がある程度あること、夫です妻ですと他人に紹介していること、ふたりの間に子供がいること、家計を同一にしていること、などです。



・同性パートナーの保険金受取人指定
所定の要件を満たせば可能にしている保険会社が増えています。
同性のパートナーに財産を残す場合、相続税がかかることがあります。しかし、相続税の計算については、法定相続人(法律婚の配偶者など)とは異なる取扱いとなる場合がありますので、注意が必要です。代表的な例は以下のとおりです。

       配偶者に対する税額の軽減(16千万円または配偶者の法定相続分相当額のどちらか多い額までは相続税がかからない)が適用されない
       死亡保険金を被保険者の相続人以外の人が受け取った場合は、遺贈によってもらったものとみなされ、相続税の課税対象となり、非課税の取扱いはない(死亡保険金の非課税限度額の取扱いはない)
       遺贈等によって財産を取得した人が、被相続人の配偶者や1親等の血族以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算される



・遺言による保険金受取人変更
保険金受取人は保険会社が認めた範囲内でしか指定できないため、第三者が保険金を受け取ることができませんでした。
しかし、平成2241日に保険法が施行されました。保険法の第44条では「生命保険の受取人を遺言書によって変更できる」と規定されています。したがって、遺言書に保険金の受取人を変更する旨が書かれている場合は、保険会社に連絡をして保険金の受取人を変更してもらうことが可能です。遺言書により保険金の受取人を変更する場合、明示的に、変更する生命保険契約を遺言書に記載しなければなりません。



・生命保険の契約者変更(名義変更)
生命保険においては、被保険者は保険の対象者本人となるため変更することは出来ませんが、契約者を変更できます。子どもの独立、離婚、契約者の死亡などで契約者変更を行うのが一般的です。また法人が契約者で役員・従業員を被保険者とする保険契約で、退職等の理由で、役員・従業員個人に契約者変更することもあります。
契約者は、名義変更、内容変更、保険解約といった権利があります。そして、保険料の支払をするという義務もあります。名義を変更した際、すでに保険料支払が終了している場合は、新契約者の保険料負担はありませんが、もし保険料支払が終了していなければ、新契約者が保険料の支払を継続します。



・契約者が死亡した場合、生命保険はどうなるのか?
契約者と被保険者が別の契約において、契約者が死亡しても保険の対象である被保険者は生存しているため、保険が消滅することはありません。新しい契約者に名義変更して保険を継続することができます。
契約者が死亡した個人契約の生命保険に解約返戻金がある場合、新しい契約者が解約返戻金相当額で契約を相続したとみなされ(みなし相続財産)、相続税の課税対象となります。



・生命保険の名義変更に関する税務(個人から個人)
生命保険に解約返戻金がある場合、名義変更による贈与、相続、遺贈となり、それが高額ともなれば税金の支払義務も発生します。ただし、契約者変更時点では課税関係は発生せず変更後にその契約が、保険満期を迎える、被保険者が死亡する、契約を解約するなど、契約者の地位に基づいて保険金や解約返戻金を取得した場合に課税義務が生じます。



・生命保険の名義変更に関する税務(法人から個人)
名義変更に伴って法人は洗替処理をします。法人が資産計上していた前払保険料や保険料積立を取り崩します。個人が解約返戻金相当額で契約を買い取った場合、前払保険料もしくは保険料積立金との差額が雑収入もしくは雑損失となります。



執筆:ファイナンシャルプランナー鈴木 裕二