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自筆で遺言を作るときのあれこれ

公開日:2020-10-07 21:28

目次

遺言をする場合、自筆で遺言を残されることをご検討されている方はやはり多いです。

 

公証人に遺言を作成してもらう「公正証書遺言」の方が
プロの目がはいり、後々のトラブル回避にはより効果的ですが、
財産に応じた手数料がかかるため、
そこまで財産ないし時間もないし自筆で遺言を残す選択をされるかた
もいらっしゃるでしょう。

 

自筆で遺言を残すとき、厳格な要件があります。

 

その全貌、詳細は他の機会に譲りますが、
少し頭の片隅においていただくだけで防げるトラブルのポイントを
ピックアップしました。

 

自署、捺印、日時については

自筆証書遺言は、遺言者が、全文を自書し、
日付、氏名、押印が必ず必要となります。
(968)

一つでも欠けておれば、せっかくの遺言が使用できない事となり、
注意が必要です。

 

氏名は、戸籍上の氏名をフルネームで自書するのが原則です。

客観的に見て誰が書いたのかわかるようにするためです。

 

過去の裁判所の判例では氏、名だけ、ペンネーム、
芸名などでもよいとされています
(大判大4.7.3)

芸能人などその方が通りがいい人物などはそれを活用するのも
選択肢に入るかもしれませんが、残された相続人が
その人物の特定に多大な負担を負わされる可能性は十分あります。

原則どおり、戸籍上の氏名を記載するのがベターと思われます。

 

また、文中に名前があるが、文中以外に署名がない時に、
登記官から指摘を受けたケースなどもあったと聞きます。

その場合でも文中に遺言者の名前が自書されていたから、
遺言書の特定が可能であり、実務上認められたとの事です。

このようにどこでつっこみを受けるかわからない場合を防ぐため、
雛形などを参照して書くのが無難です。

 

日付も必ず書きます。月日の最後まで必ず書かなければ、
無効になります。「吉日」もダメ。

 

印鑑は認印でokです。
近年花押を書くことが印章による押印と認められなかった
判例がありますので、必ず朱肉をつけた印鑑を押印しましょう。
母印は
okです。

 

 

遺言書は遺族に宛てて書くものですが、
遺族はその遺言を銀行や法務局に提出し、
第三者に認められて初めて効力を有します。

遺族に負担をかけないように、遺言は形式を遵守し、
内容も第三者が見て特定できるものにすることを心がけましょう。

 

 

令和2年から遺言書保管法が施行されました。

遺言者が法務局に出頭して遺言書の保管を申請できるようになり、
自筆証書遺言のニーズはますます高まっていく事が予想されます。

書くまえにルールをしっかりと確認し、
遺族への思いがきちんと反映される遺言づくりをなさることを祈ります。

 

 

執筆:小倉司法書士事務所・小倉大輔